17Aug
みなさん、こんにちは。
本日は、「情報社会④ ~プライバシーと知的財産(著作権)~」についてお届けします。
近年ではよく話題に挙がる語句が多いので、今日の内容は「聞いたことはある!」というものも多いかと思います。ここは特に覚える内容が多く、それぞれがどれに該当するかを問う問題も作成しやすいので、選択問題でも扱われがちです。
それでは内容に入っていきましょう。
「プライバシー」とは、むやみに他人に知られたくない個人的な情報のことを指します。プライバシーには、後述する個人情報を筆頭に肖像権やパブリシティ権などが含まれています。
「プライバシーの権利」とは、プライバシーの公開を制限・管理する権利で、プライバシーを勝手に知られることを拒む権利です。
・肖像権→他人から無断に撮影されたり、利用されたりしないように主張できる権利。
・パブリシティ権→名前や肖像を商品化・製品に勝手に用いられないように主張できる権利。有名人の財産的な権利。
次に「個人情報」についてです。
まずは、「個人情報」とは何かを触れていきましょう。
『個人情報の保護に関する法律』によると、
「第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの」
とされています。
要約すると、
生存する個人に関する情報であり、①、②に該当するもの
①氏名・生年月日・住所・電話番号・勤務先・性別・年齢などいくつか組み合わせることで個人を特定できるもの
②DNAの塩基配列、指紋などの身体的特徴や行政・企業が発行し個人に割り当てる番号などの個人識別符号
が個人情報であるといわれています。
またその中でも、「基本四情報」とは、「氏名」「住所」「生年月日」「性別」とされ、これらは行政などで個人を特定するために必要な情報です。
「基本四情報」とは別に「要配慮個人情報」というものも定められており、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」のことを指します。
(『個人情報の保護に関する法律』から抜粋)
そうした中でも膨大なデータを得るためには、一定数の情報を得ることが必要です。その際に用いられるのが「匿名加工情報」と呼ばれるものです。これは、特定の個人を識別できないように個人情報を加工し、個人情報を復元できないようにしたもので、個人情報取扱事業者は定められたルールの下で、本人の同意を得ることなく、匿名加工情報を第三者に提供できます。
その定められたルールの一部として、「適切な加工」として挙げられているものを紹介します。
1,特定の個人を識別することができる記述等の全部又は一部を削除(置換を含む)すること。
2,個人識別符号の全部を削除すること
3,個人情報と他の情報とを連結する符号を削除すること
4,特異な記述等を削除すること
5,上記のほか、個人情報とデータベース内の他の個人情報との差異等の性質を勘案し、適切な措置を講ずること
となっています。
氏名や住所はもちろん、国内で数名しかいないような情報は削除することによって、個人の特定ができない状態にする必要があります。
アンケートなどで、「東京都在住・男性」という表記では人数が膨大で特定できません。
しかし、島しょ部などの場合や住所を絞っていくと誰だか特定できるようになる可能性があります。その場合はその情報を削除する加工が必要です。
さて、ここまでで前半は終了です。
後半の知的財産権について触れる前に少し休憩がてら他の内容を挟みます。
「オプトイン方式」と「オプトアウト方式」についてです。図を掲載しておきますので、どのようなものが例としてあるかを考え、イメージを持っておいてください。
例えば、ブラウザ閲覧中に出てくる広告などは、オプトアウト方式が多いです。関連広告を「受け取りたい」と言っていないのに勝手に出てきますから…
一方で企業のサイトの会員登録などで選択できるものはオプトイン方式と言えるでしょう。
ここからは後半「知的財産権」について触れていきます。
「知的財産(無体財産)」とは、「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(中略)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」のことを指します。
「知的財産権」とは、「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利」とされています。
(『知的財産基本法』より抜粋)
さて、知的財産の種類に関して触れましたが、これらは「知的創造物についての権利等」と「営業上の標識についての権利等」に区分けされますが、情報Ⅰの課程には含まれない権利もありますので、情報Ⅰとして、産業財産権と著作権という内容で触れていきます。
「産業財産権」は、特許庁が管轄している産業に関する独占的権利であり、知的財産権のうち、「特許権、実用新案権、意匠権、商標権」の4つとなります。
「特許権」は、特許法によって定められている権利で、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの。一般に「発明」と呼ばれるものを保護するもので、出願から20年間(一部は25年間)が対象です。
「実用新案権」は、実用新案法によって定められている権利で、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち物品の形状・構造などを保護の対象とし、出願から10年間が対象です。
「意匠権」は、意匠法によって定められている権利で、物品の形状や模様、色彩などの視覚を通じた斬新なものを保護しており、出願から25年間が対象です。
「商標権」は、商標法によって定められている権利で、商品やサービスを区別するためのマーク(一般にロゴ)を保護しています。登録から10年間が対象ですが、更新が可能です。
この4つの権利の中で、「商標権」のみが「営業上の標識についての権利等」に該当し、「出願から」ではなく、「登録から」となっている点に留意しましょう。
これらの産業財産権と範囲外ですが「育成者権(種苗法)」を含めた5つの権利を「絶対的独占権」という場合もあります。これは、「客観的内容を同じくするものに対して排他的に支配が出来る権利」ということです。
次に「著作権」についてです。
みなさんは、「著作権」という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、実際にどのような権利か知っていますか。
「著作権」といってもさらに細かい分類に分かれていきますので、その内容について触れていきたいと思います。
まず始めに「著作権法」では、「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」とされています。(『著作権法』より抜粋)すなわち、「著作者の権利とそれに隣接する権利」があるということを知っておきましょう。
各種の著作権は、「著作人格権」「著作権(財産権)」「著作隣接権」に大別し出来るので、それぞれを表にまとめてみました。おそらく、どの情報Ⅰの教科書にも似た内容が記載されているかと思いますので、お手持ちの教科書を参考にしていただいても大丈夫です。
※公衆送信とは、一斉送信(テレビ放送・ラジオ放送など)と自動公衆送信(Webページなど)に分類されます。
そして、最後にもう1つの「著作隣接権」です。
著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者に与えられる権利です。実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者に与えられるもので、その権利の内容はそれぞれで異なります。しかし、その詳細については情報Ⅰで触れる内容ではないので、今回は割愛します。
ここまでは、著作権の権利の種類について紹介しましたが、「著作権(財産権)の例外規定」というものが「著作権法 第五款 著作権の制限」において定められています。
ここでは、12項目紹介しますが、これらについても言葉でイメージ出来るものが多いですが、出題方針として、「ある場面を指定され、著作権法に違反しているか否か」を判断させるという形式で出題される場合がありますので、自分のイメージを異なっていたものについては、きちんと書き留めておくなどして見返せるようにしておきましょう。
1,私的使用のための複製
個人的に又は家庭内において、仕事以外の目的で使用するために、著作物を複製することができる。同様の目的であれば翻訳や翻案なども可能である。
2,図書館などにおける複製
公立図書館などの政令によって定められた図書館において、営利目的でない場合にあっては、著作物の一部分を1人につき1部のみ複製できる。
3,引用
公正な慣行に合致し、正当な範囲内であることを条件に、他人の著作物を引用して利用できる。
4,教科用図書などへの掲載(教科用図書代替教材への掲載等)
学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科書に掲載することができる。
5,教科用拡大図書等の作成のための複製等
教科用図書に掲載された著作物は、各種の障害によりその著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習に利用するために、必要な方式によって複製ができる。
6,学校教育番組の放送
学校教育の目的上必要と認められる限度において、放送番組用の教材に掲載できる。
7,教育機関における複製
学校その他教育機関において教育を担任する者や授業を受ける者は、授業の過程で使用するために著作物を複製できる。
8,試験問題としての複製
入学試験や学識技能に関する試験又は検定の目的上必要とされる限度において、複製することができる。インターネットなどを利用して試験を行う場合には公衆送信できる。
9,障害者等のための複製
視覚障害者のために点字によって、又は聴覚障害者のために字幕などの方法によって複製できる。
10,営利を目的としない上演等
営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受け取らない場合は、上演、演奏、上演、口述することができる。しかし、実演家や口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は除く。
11,時事問題に関する論説の転載等
新聞、雑誌の時事問題に関する論説は、利用を禁ずる旨の表示がない限り、他の新聞若しくは雑誌に転載し、放送できる。
12,情報解析のための複製など
コンピュータなどによる情報解析を目的とする場合、必要な限度内で記録媒体に著作物を複製できる。
他にも該当する例はありますが、現段階で情報Ⅰの内容として記載のあるもののみを抜粋しています。
ここまでで著作権の内容について触れてきましたが、残り少しだけ触れるべき内容が残っていますので、あともうひと踏ん張りです。
「オープンライセンス」とは、著作者が自らの著作物の再利用を許可するという意思表示をするものを指します。
「CCライセンス」とは、著作権者が自分の著作物を自由に利用するために守るべき条件を表示したものを指します。
※フリーウェアやフリーコンテンツなどの無償で利用できるものも多くありますが、これらにも著作権は存在し、商用利用・一般利用共に著作権者の示す条件に従う必要があります。
これらの「著作権(財産権)」、「著作隣接権」の侵害は、10年以下の懲役、又は1000万円以下の罰金、又はその両方が科せられます。
これらの著作権の侵害については、海賊版の販売・配信の行為を除き、「親告罪」であり、著作者自身による告訴が必要です。
本日は、ここまでです。長文お疲れ様でした。
次回は、「情報デザイン」です。