8Sep
みなさん、こんにちは。
前回の続きとなる、「リチウムイオンバッテリー 『第2回リチウムイオンバッテリーの種類と特性』」について書いていきます。
今回は、リチウムイオンバッテリーを代表する7種類について書いていきます。
★コバルト系
世界で初めて商品化されたリチウムイオンバッテリーはこのコバルト系でした。
今でもモバイル機器などに利用されており、エネルギー密度が高いため、二次電池の開発背景に求められていた小型化・軽量化の要望を叶えるものです。
ただし、熱暴走などの安全性においては課題があり、今日に至っても研究が続けられています。
★ニッケル系
コバルト系以上のエネルギー密度をもつため、同サイズで高容量、若しくは同容量で小型化が期待されます。
従来では、安全性において課題があり、商品化はされていませんでしたが、現在では素材の構成を見直すことによって安全性が開発当初よりも向上しました。
★マンガン系
低価格かつ安全性が高いのが特徴です。結晶工場が比較的強いため、熱安定性にも優れています。
しかし、エネルギー密度は低く、バッテリーが大型化してしまうのがデメリットです。
★三元系
コバルト系を改良したもので、コバルト・ニッケル・マンガンを利用したものです。
3元素を用いることから三元系と呼ばれています。
比較的高容量かつ高エネルギー密度であり、比較的安全性も高いというバランス型のバッテリーと言っても良いでしょう。
★チタン酸系
長寿命と安全性の高さを実現したものです。エネルギー密度が低いため、バッテリーが大きくなってしまうのが欠点です。
負極にチタン酸リチウムを用いています。
★リチウムポリマー系
形状の自由度が高く、比較的軽量であるのが特長です。
★リン酸鉄系
電池内部の発熱に対する安全性が高いのが特長です。エネルギー密度は低いですが、長寿命かつ素材が低価格のため、コストも抑えることができます。
特性をざっとまとめるとこのようになるかと思います。
もちろん、各社メーカーの開発によってデメリットが改善されつつあるものも多く商品化され、
素材の選定においても上記の中での組み合わせというようなものも存在しています。
なかなか普段はリチウムイオンバッテリーの種類まで見ることはないかと思いますが、
是非、気になったときには調べてみてください。
ただ、一般的なデータや商品仕様では、「リチウムイオンバッテリー」としか説明がなく、どのタイプかわからないものも多いです。
昨今、レジャー/防災観点で関心が高まったポータブル電源は「リン酸鉄バッテリー」と書いてあることもあります。
身近なものから少しずつ調べてみましょう。
機会があれば、このブログでも種類別にリチウムイオンバッテリーを掲載していこうと思います。
また近年ではコバルトを使用しないコバルトフリーのリチウムイオンバッテリーも多くなりました。
これはコバルトの市場の不安定さやコバルト自体のコストの高さによって、商品価格を抑えることができないため、コバルトを使用しない素材の開発が今も進められています。
最後にせっかくなので、各素材の取引価格を調べてみました。
今現在、
コバルトは 33,335 USD/T 程度で取引され、
ニッケルの 15,217USD/T やニッケルよりも安価なマンガンや鉄に比べ非常に高価です。
本日はここまでです。